境内に『観音目安箱』を設けました。

夕方になると庭から虫の声が聞こえてくるようになりました。秋ももうすぐそこまで来ていますね。

さて、境内を歩かれた方は、お気づきかもしれませんが、水屋の脇にかわいらしい石の観音さまが安置されました。観音さまの下にはポストが設置されており、『観音目安箱』と書かれております。

一般に目安箱といえば、江戸時代、八代将軍・徳川吉宗が設置したものです。ここでいう目安とは、箇条書きにした文書や、訴状、陳状のことです。政治・経済から日常的な問題まで、町人や百姓などの要望や不満を、箱に投函し、直訴させたものです。制度自体は古くから存在したそうで、戦国時代、甲州法度之次第の条文や『甲陽軍鑑』にも、甲斐武田氏でも本拠である甲府に、目安箱を設置していたことが記されているそうです。

よく耳にする観音さま、正式には<観世音菩薩>と呼ばれています。世間の人々の救いを求める声(世音・世の中の音)を聞く(観る)とただちに、救済して下さる仏さまです。

またお姿を自在に千変万化させて、生きとし生けるものを救うことから、<観自在菩薩>ともお呼びします。(自元寺のご本尊は阿弥陀如来さまですが、脇侍として、向かって右側に観音さまがいらっしゃいます。左は勢至菩薩さまです。)

菩薩とは、「菩提薩埵(ぼだいさった)」の略です。「菩提」とは仏のさとりのことで、「薩埵」とは、求める人、ということです。つまり、仏のさとりに向かって努力している人を「菩薩」といいます。及ばずながら、日々を生きる私たちも菩薩なのではないでしょうか。

自元寺では、直接聞きにくいこともお気軽に相談していただけますよう、『観音目安箱』を設置いたしました。例えば、葬儀や法事を始め、お寺の行事は「死」に関わることが多く、心情的になかなか聞きにくいのではないかと思います。また、お寺に伝えたいこと、悩みや相談したいことなどあれば、どんなことでも構いません、『観音目安箱』をご活用して頂ければ幸いです。皆様からのお声を聞き、微力ながら助けになれればと存じます。返信を希望される場合は、連絡先をご記載ください。秘密、個人情報は厳守します。

『観音目安箱』設置に際しては、日頃よりお世話になっております、横手の巨摩石材・中山敏彦さまがご寄進下さいました。厚く御礼申し上げます。かわいらしくやさしいお顔で、わが子の赤ちゃん時代を思い出すようです。是非皆様にも見ていただきたく思います。

皆様方、田圃をはじめ忙しい時期でありますが、十分にお体にはご留意ください。