北杜市高根町長澤にある「Terroir愛と胃袋」にて、10周年記念のイベントが開催されました。イベントの名前は「愛と胃袋万博」。女将の石田恵海さんよりイベント内でお話をしてほしいとお声掛けいただき、講師として参加してまいりました。
テーマは「死って何なん?」死について考える講話です。
このお話会を通じ「死」を考えることの大切さを再認識しました。講師をご依頼いただいたとき、女将の石田さんはこう仰っていました。
「田舎にいると孤独死も他人事ではない。またコロナによる死は、罹患したことによる死はもちろんだが、コロナに関連した死、自死といったものもあるように感じられる。」
石田さんのように死をごく身近なものと考える方もいらっしゃいますが、普段の生活では意識することのない方のほうが多いかもしれません。整備された現代日本では、「死」が見えにくくなっていることも理由の一つでしょう。場合によっては意識的に、無意識的にかかわらず「見ないように」過ごすこともできてしまいます。
死について考えることに是非や善悪はありませんが、どんな人にも平等に、必ず訪れる「死」を考えることは、いまこの世界を生きるあなたの生を豊かにしてくれるものだと信じています。
さて、この会は住職にとっても学びの多いお話会となりました。お話のあと、参加して下さった数名の方からお声掛けをいただき、それぞれの考えや状況をお聞きできました。とても貴重な体験でした。皆さんが「死」とそれぞれの形で向かい合っているのだと実感した時間であり、僧侶としても喜びを感じた有難いご縁でした。
もう一つ、素晴らしい学びがありました。この機会が大きな内省となったことです。
昨年度、住職は大学院で学びました。大学院の講義でも「ミニットペーパー」という課題提出があり、その時々の学びを振り返っていました。
しかし、自分の歩みや、関わる方と自分自身の学びが直接つながることは初めての体験でした。学びが「いま」目の前にあることとつながる「学ぶ意義」を強く感じられた時間でした。
死を考えることに正解や結論はないのでしょう。しかし、これからも死と向かい合っていく中で見えてくるものに、真摯に向き合う自分自身でありたいと思いを新たにしました。
このような素晴らしい体験ができた「愛と胃袋万博」でした。お話会に参加してくださった皆様と、この機会を設けてくださった女将さんに感謝申し上げます。
なお、愛と胃袋さんが運営されている一棟貸・旅と裸足のプランでは、「タナトスの誘惑」という死を考えるプランもございます。早朝からのスケジュールではありますが、お話・坐禅・お勤め・朝粥を味わいながら、いっしょに死を考える時間が過ごせますと幸いです。
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