京都大学建築学科 100周年記念コンペ【銀賞】を受賞しました!

誰もが立ち寄りやすいお寺のために~耐震補強工事日記~【2】

昨年より始まった庫裏(くり)の耐震補強工事、順調に進んでおります。現在、自元寺の庫裡は床や耐力壁が作られ、新しい骨組みが見えて参りました。昔からある骨組みに新しいものが足され、完成に向けて少しづつ姿を変えています。

さて、自元寺の設計が、「京都大学建築学科 100周年記念コンペ」で【銀賞】を受賞いたしました。大変明るく嬉しいニュースで、私共も誇らしく感じております。

コンペのテーマは「これからの街の遺伝子」

その時代ごと、人々の営みによって街並みは変わっていきます。無秩序に変わるのではなくそこにある建物の「遺伝子」がその地域に根ざしポジティブな変化をもたらせたら素晴らしいとは思いませんか。

シンプルに言い換えると、「その建築がきっかけで地域がより良くなること」

これはこの工事に寄せた私たちの願いでもあります。

「伽藍の胸襟を開く」が発表のコンセプトです。

今回の耐震補強工事では、庫裏をより人が集まりやすいよう工夫を凝らしました。座敷もより機能的になり、さらに居心地の良い空間になります。スロープも設けますので、車いすの方もベビーカーの方も入りやすくなります。

広い縁側もしつらえ、立ち寄った皆さんがちょっと腰掛けて話すこともできるようにしました。

もちろん、お寺としての格式を保ったまま建物の補強も行い、本堂をより格調高く感じていただけるよう、庫裏にあった唐破風の移築も行いました。

寺院は信仰の場であることはもちろんですが、寺子屋という教育の場になったり、街の人の相談所になったりと、時代ごとに人が集う場所として地域と共に生きてきました。自元寺は、これからも人と人とのつながりを作れる場でありたいと考えています。

設計した羽村祐毅さんはわたしの高校時代の同級生で、大人になってからも盃を酌み交わしてきた仲です。

折に触れ、わたしの思いやこの地域の在り方なども語り合ってきました。今回は建築士としてこのプロジェクトに関わっていただく中、6名の総代さんで組織されている「建築部会」はじめ、多くの方の声も反映しながら、地域やお寺の背景まで汲み取って、今回の設計を形にしてくださいました。

私たちとのこの地域にあり続ける自元寺の歴史も含め評価いただいたと感じ、心から嬉しく思います。

コンペのWebサイトにはこうあります。

「100年後の街を豊かにするような、遺伝子を残していくことは可能です。」

100年後に白州がどのようになっているかは誰にもわかりません。ですが、451年もの間そうであったように、これからも地域にあり続け、地域の人の心にも「自元寺」があり続けられるよう、自元寺も変化をしていきます。

京都大学建築学科100周年記念コンペ

http://100th-compe.archi.kyoto-u.ac.jp/